初回 ”家族と必然”

わたしと妻は長野県に五年前に移住した

移住先を探していた当時訪ねた森の中の友人宅

偶然にも引越すというお話しを頂き

二つ返事で移住を決めた

聞けば家主さんが渓流釣りの別荘として夏の間使われていた場所で 冬場は-20°まで下がる

引越しは4月1日 雪が降り 真っ白な景色がお出迎え

早々に手頃な薪ストーブを買い求め 自ら取りつけた

初めて火を入れた時

蒸気機関車の様な音を立てながら激しく燃える火の姿は今でも脳裏に焼きついている

そしてわたしは思った

“自分で木を伐り 薪を調達し 何か制作をしながら生きよう よし 木こりだ”

その流れで次の月から木こりを始めた

偶然知り合えた木こりの親方は特殊伐採をしていた 昔で云う空師で 木の上に登り 木を伐る人

当時の木こり仲間は3人程で1年間は木に登らず下でグランドワークをして過ごした

わたしも木に登りたいっと思っていた2年目

木こり仲間のひとりが引越すから登る道具を譲ってくれると言う

そこからがむしゃらに木に登り木を伐る空師の仕事が始まった

それから三年余り わたしは優しく木に登り 樹皮採取を行なっている

振り返ると不思議な気もするが 過去のわたしが別の目的で始めた木こりの智慧を使い 新たな表現が自然な流れでやって来た現在

今の自分では想像も出来ないさらなる次元へ

いつも己が連れ出してくれる

”過去の自分を信じ 今を生きる”

これは制作時にもよく思う事である

この話しの裏側には常々家族の存在が在る いや家族はわたしの主軸であり 制作活動の根源

習が産まれ わたしの作家人生も始まった

“己を生きる” 事の本当の意味を 家族の存在を通して感じ始めた旅の途上

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