二話 “机の上の本 ”

 

工房の机の上には本が沢山並んでいる

あり合わせの杉板と立ち枯れた桜の丸太を半割した端材で出来た本棚

奥行が25cmもあるから自ずと最近手に入れた本や最近読んでいる本が前に来て

去年読んでいた本は後ろから微かに顔を覗かせている

そのタイトルがちょっとだけ見えているその様が

なんだか過去のわたしがそこにいる様な気がして

嬉しさと哀愁が心に漂う

最近漠然と考えている事がある

まだ確信的な言葉にならないが

今表現しておかなければどこかへ忘れ去られてしまいそうで

今表現したいと思う

それは所作についてである

所作とはふるまいや身のこなしの事でかたちが在るものではない

目視出来るのはその瞬間だけで料理もそれに近い表現だと思う

例えば 毎朝部屋を掃き窓を拭く

これも掃除の所作になる

このかたちを留めない行為に または表現に気持ちを注ぐ

という人智の美しさに惹かれるのである

そしてその多くは日々の暮らしの中に存在する

愛はかたちを成さず 感じ得る

まさに所作とはその人が生きた道であり

その心が場の空気からわたしたちは感じ取れる

全ては所作である と言っても過言ではない

所作とは生き様そのものだから

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